国土の約70%が山岳地帯と言う日本にいて30%の平野部だけで過ごすのは余りに窮屈って事で本格的に山に親しむようになって5年。まだまだ初心者の域を脱した訳 ではありませんが、長期休暇の度に一緒に行かへん?と声を掛けたりしていると、始めてみようかなと言うマゾな人がチラホラ。近所の規模の小さい低山なら首 にタオルをぶら下げ、片手にペットボトルを持ってという具合に気軽に足を運べるけれど、数時間入山している規模になれば、そうは行かずに色々な山道具が必要になってきます。
 そんな山道具を一気に一式揃えるには、かなりのお金と思い切りが必要で、ハイキングから登山(何を以って登山と言うかは曖昧ですけど…)へのステップアップが難しいのかと思います。
 そこで何から順に揃えて行けば良いのかを書き出して行きたいと思います。
 ただ、私は真性モンチッチ(mont-bell)のMAMMUT好きです。かなりの贔屓目が入るのでそこは自分なりに同様の物を見つけて頂ければ良いかと。
談】各国の登山ギアブランドのカタログを眺めているとどれも信じられない値付けがされています。ざっくり言うとどれもモンベル比で130%位でしょうか?こ の項では触れませんが冬山道具一式をMAMMUTで揃えるとmont-bellプラス20万は行くのではないかと。

1.    ヘッドランプ
 これは先ず最初に購入して間違いないと思います。山に入って一番怖いのが道迷いですが、道に迷って夜になる。夜にならなくても谷あいの木立は思いのほか暗くなるのが早いです。また怪我やバテで思いの他時間が掛かり夜になった際に明かりが無いと本当に進退窮まっちゃいますんで。
 明かりと言っても懐中電灯ではなく両手が空くヘッドライトでLEDの物が良いです。(今となっては電球タイプの物を探す方が大変ですね)明るさや調光、防水機能の違いから10000円を超える物からホームセンターで見かける1000円を切る物までピンキリですのでIPX4以上の入手性の良い電池が使用されている物を選ぶと良いです。
【余談】IPX4ってのは「IEC(国際電気標準会議)」によって定められている防水・防塵の保護規格です。IPに続く2ケタの数字の左側が「防塵等級」を、右側が「防水等級」を表しており、例えば「IP56」という表記がある場合には、左側の"5"は防塵等級が"5級"を、右側の"6"は防水等級"6級"をクリアしているということで"X"は"防塵のテストをしていない"という意味で、つまりIPX6は"防水のみ6級"を表していることになります。

2.    レインウエア
 次はレインウエアですがポンチョタイプでない、上下で分かれたセパレートタイプのレインウエアが必須です。
 これもヘッドランプ同様に上下で1000円から50000円程する物まで沢山の種類がありますが、結論を先に書くと登山で使う始めの一着はmont-bellの「ストームクルーザー」を買いましょう。間違いがありません。
 山で濡れることは大げさな話では無く命に係わります。真夏でも高地で濡れた状態で風に吹かれれば、また低山でも秋口であれば十分に低体温症になり得ます。
 レインウエアの価格差は立体裁断された動き易さやデザイン性の高さもあるのでしょうが一番の違いは防水・透湿性の高さです。
 登山はハードな運動で結構な汗をかきますが、ウエアが通気性の無いゴム引きだったら、かいた汗をウエアの外へ出すにはファスナーを空けウエア内を換気する他ありません、しかしファスナーを開けっ放しだと中が濡れますよね。そこでGORE-TEXを代表とする透湿フィルム(メンブレン)が使われたレインウエアが必要になってくるのです。
【余談】GORE-TEXをはじめとする透湿素材はウエア表面が撥水する事でその性能を100%発揮します。ベタっとウエア表面が濡れていると折角ゴア層通過した水蒸気が水の膜でストップし通気(正しくは通気ではないが)しなくなります。
 コロコロと玉のように雨粒がウエアを転がる様は見ていても気持ちが良い物ですし、使用後はしっかり洗って撥水スプレーなどで撥水処理をしましょう。
【余談の余談】撥水スプレーにはシリコン系とフッ素系、その2種を混合した物の3種類あるようですが、レインウエアにはフッ素系のスプレーを使いましょう。
 透湿素材って言うのは電子顕微鏡で見れば判る水は通さないけど気体は通す穴が無数に開いています。シリコン系はこの微細な穴を埋めてしまうとの事です。同様の理由から汚れ(特に皮脂汚れ)も微細な穴を埋めてしまう原因となる事から、着用後はこまめな洗濯をお勧めします。

3.    登山靴
 冬季用の重登山靴からスニーカーと見た目の変わらないトレイルランニングシューズと無数に種類があるので選ぶのは難しいかもしれません。山を歩いていると低山・高山を問わずゴム長靴を履いている人も見かけますが、どんな靴を選べば良いかの答えは脚が出来ているか?どのような場所を歩くのか?によって変わる物と思います。
 ハイカットの靴は捻挫を防ぐと言われますが捻挫を防げるほど足首を固定されるハイカットの靴は靴では無くもはやギプスではと思います。
 しかし、装備を詰め込んで一定の重量のあるザックを背負いザレた場所を歩くとなるとソコソコの靴は必要でしょう。
 使用する場所を夏の日本アルプスまでとするなら、つま先周囲がしっかりしていて岩にぶつけても痛くない強度を持ち、靴底は手で曲げられる柔らかさを持った防水のハイカットが良いです。
 歩き易さではローカットの靴に分があるのですが雨でぬかるみ、ちょっとした川になった様な登山道など当たり前です。衣服が濡れたなら着替えればいいけど、靴が濡れれば履き替えって普通登山靴の予備は持ち歩きませんよね。なので防水のハイカットは必須です。
 また、靴(底)の剛性も結構重要なポイントです。足裏感覚に優れた靴は路面情報
が多く伝わり歩き易いのですが、荷物を背負い長時間ザレ場を歩くと豊富な路面情報がアダとなり足裏が非常に疲れます。
 後は当然の事ですが足に合っている事ですかね。大きさ、幅はもちろんですが、冬靴で無い限りは歩いた際に靴底がしなるのですが、このカーブが拇指球を頂点としたカーブとなっているかが重要です。
 いずれにしても色々な確認ポイントはあるけれど、オーダーメイドの靴でないのならば、多くの靴を長い時間かけて履き比べる事が大事でしょう。シューフィッターさんが何を言おうが履いた感覚は当人にしか判らない物ですので最後には自分で決めるのが一番です。
【余談】典型的な日本人足の私は細身の靴は履けず靴選びは本当に難儀します。mont-bellのカタログに足幅4E相当のタイオガブーツワイドなる靴が出ておりました。マラソンシューズを購入しようとasics  foot  idで計測した所、私の足幅はFとの事。これまでFの靴なんて見たことが無いので仕方なく大きめサイズでお茶を濁して居たのですがこのタイオガブーツだとピッタリ来るのでは?と足を通すのが楽しみでなりません。

4.    ザック
 日帰り、小屋泊まり、テント泊で容量は変わってくるのでしょうが40L程度の物が一つあれば良いです。大は小を兼ねるとは言え60L一つでは大きすぎます。

 白馬三山をのんびりと3泊4日でテント泊で巡った時はmont-bellのCHACHAPACK45Lで済ませました。いざ山へ行ってみると分かるのですが、生活の基本となる物の一定容量って決まっていて、テントにシュラフ、カトラリーの類いは一泊以上の山行になると変わりません。あ、水もですね。山行日数で増えるのは食料と着替え位。着替えはほとんど持たず、食料はフリーズドライとすると驚くほどコンパクト。貧脚の私は持ちたくても持てないと言う理由も有りますが…


と、素人がツラツラ書いて来ましたが健康な身体が有り、この四つの神器が有ればもう一通りの山に行けるのでは?と思います。この四つを買った人は黙っていても細々した物も揃えて行っているはずですしね〜w